abstract

長編お仕事系ミステリー。
刃のごときの仕事をする青年・ツルギはカフェに戻ると恋バナ大好きオトメな彼。そんな彼をいつも茶化す謎の同僚。恋する相手とともに彼の謎を探るものの、謎は深まる一方で。さらに新人は天然でポカをするし。しかも原油流出が止まらない? どういうこと? 再エネと化石燃料エネ? 雇用問題って? うーんと、おれはどうすれば? 環境コンサルを舞台に恋するオトメな彼の奮闘記。

about

【RWMシリーズ関連性】
『山火事異常発生問題』(『探査少年×ファイア』でクローバーたちが対応)から1年後。「若手育成」という名目で部長クラスが現場へ出られなくなり本作主人公ツルギたちが奮闘。今後ツルギは次期修繕部長候補として碓氷に鍛えられていくことになる。(『油田開発再燃問題』『エネルギーと雇用の問題』)
【原稿用紙換算枚数】443枚
【読了目安時間】5時間
2017/9/27 配信開始

contents

第1話 お前、俺に憧れていたんじゃなかったのかよ
第2話 オトメなのは喜ばしきことかな
第3話 最重要危険物輸送中ってちょっと待ってっ
第4話 さらば、愛しのポテチよ
第5話 自由人の覚悟は世間の常識をふきとばす

試し読み

◇◆試し読み◆◇
 へとツルギは慌てる違うよと激しく両手を
バとはただの恋バナ相手なだけでそれに彼女
にはカコイイ彼氏さんがいて
 必死でまくしたてるツルギにごめんごめんわか
てるとギアが目尻に涙をためて笑
ツルギ彼女の彼氏に会たことある?
 これまたギとする彼女の彼氏は修繕部員の中で
部長とはまた異なる伝説の英雄じみた人だ話題にする
のもはばかられるほどである知らず知らずギア相手
でも慎重な声になる
一度だけ
私も一度だけうん凄いよね半端ないオ
ていうかカリスマ性ていうかなんていうかあの
人と付き合えるデバが凄いて思
 ツルギは大きくうなずくまさにそのとおりだ
その恋バナに付き合ているツルギも割と凄いな
て私は思ているんだけどね
 へえ? とツルギが目をしばたたいたときであ
 これまた前振りもなくいきなりイヤモバイルからコ
ルがあたと思たら眼前をライトで照らされてバ
がツルギたちに横付けされた
 ああそうか十五分がたたのか
 ツルギはイヤモバイルをタプする声ではなく舌
打ちが聞こえた碓氷である
時間だからモノクロを迎えに行けて言おうとし
たところだたがあのアホ垂れギリギリまで粘
戻りきたか
 残念ながらと答えてツルギはバギを見た乱れた
髪を直しつつ澄ました顔つきでモノクロがバギから
降りて近よてくるギアがあんた勝手に使
ぽいバギんともとの場所に戻してきなよと怒
ていた
それより
 とモノクロはツルギに顔を向けた

き露天掘り現場の事務所みたいなところで公爵を
見ましたておいていいんですか
え? あ今回の案件措置のことを伝えに行たの
かな?
険悪な雰囲気の中で公爵はポテチをかじていました
 はあ? と声を裏返すあ止めろよとツルギと
碓氷の声が重なる
俺はその先の露天掘り表層のオイルサンド濃度が知り
たかたのであと数メトル掘れば掘削できそうです
だからこそ経営側が人手を欲しがたようですね
公爵は何をしていた
 と碓氷がイヤモバイルから聞いてくる
どうしておれに聞くのおれじなくてモノクロに言
てよ
アイツは全然話を聞かないはお前がするし
かないだろうが
 言い返そうとして首を振る無駄だおれの代わりと
いえばギアさんだけどギアさんがモノクロをフ
できるわけがないしうがないなあ
 モノクロとツルギは声をかける
公爵はひとりじなかたんだよね険悪そうて現
場監督と向き合ていたてコト?
囲まれていました
 えと眉が歪む
そのあと事務所へ人が駆けつけていたようです
 ええ? とさらに眉が歪むああと声を出しなが
らモノクロは手持ちの小型デバイスにパネル入力をする
あれはどうやらここの経営者のようですね
ですが関係のなさそうな人物もいますね政府筋らしい
ですそれ以上は俺のデバイスでは追えません
 碓氷が怒鳴
追え
何を
公爵に決まているだろうがあのアホ垂れが
れほど自重しろといたのに
念のために言うと公爵だて二年間訓練をクリ

アしているんだから彼の身を案じる必要はないと思う
けど?
当たり前だヤツの身なんか案じていないわ
なら何を
いいから行けや行けばわかるわ
 そう怒鳴られてツルギはポニルの髪をたなびか
せてモノクロの使ていたバギに飛び乗る
とモノクロが咄嗟にバギにつかまりギアは軽
々とバギの屋根に飛び乗
 モノクロがこのバギに三人は無理ですと声を荒
げる
いいから公爵はどこにいたて? 場所を教えて
 運転するツルギにモノクロはああもうと吐き捨て
もう少し東側ですあの一番灯りが強いところで
と指さした
 そして碓氷の言葉の意味を理解する
 モノクロがナビしてついた先そこでは
 黒光りする頑丈そうな乗用車が十数台も並んでいた
明らかに雇用者用とは思えない公爵の出現に慌てた経
営者が駆けつけたかさらにはそれ以上もだと瞬時に
ツルギは判断する伊達にNATOで暴れていたわけで
はない
 黒光りする乗用車に紛れていやその半数以上がカ
ナダ自治体の公用車と軍部の諜報筋の関係者の車両があ
防弾ガラスどころではない装備がありそうだ
 碓氷が自重しろと公爵に繰り返したのもわかる
 こんなところで白兵戦じみたことなどやりたくない
 オイルサンド現場だからではなくこんなにまわり
に子どもがたくさんいるのにであるあの人のいい中
年女性だていた嫌々働かされている彼らの父親たち
ている巻き込みたくない
 バギを運転しながらツルギは碓氷に低い声を出す
公爵には碓氷が強く言うていていたよねそれで
も公爵はひかなかその彼をどうすればいいの
走れ
 はい? と首をかしげたところでこれまたその意味
がわか

 公爵の姿が見えた
 なぜか公爵は事務所の屋根にいたそこで朗々と何か
講釈をしているしかも片手にはいつもどおりにポテチ
舞台俳優のように胸を張てポズを作り語り続けてい
 なんであの人わざわざ事務所の屋根に上てい
るの?
 映画のワンシンごこ?
 で? ポテチ? ここでもポテチ? どんだけポテチ
だよしかもなんだかいつもに増して食べる速さが増し
てない?
 さらにはその公爵と事務所を取り囲むように人の輪
ができていた彼の言葉に聞き入ているわけではなさ
そうだ誰もが険悪な雰囲気というより殺気すら放
ている
 モノクロがイヤモバイルをタプしながらぼそりと
つぶやく
再生可能エネルギと化石燃料エネルギのバラン
スについて
なんだて?
 とツルギは聞き返す
公爵の講釈内容です
 はあ? とツルギとギアは声を裏返す化石燃料エ
ネルギ現場のど真中でそれをうとりと語ている?
 何を考えているのあの人あおてどうすんの
 ツルギが涙目になたときであ
 嫌な予感がしてツルギは顔を上げる
ギアさん早まらないで
 遅か
 ギアは彼らに向かて古めかしくも懐かしいパイナ
プル型の催涙弾を放り投げていた
                 続きは本編
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